会社員が長い勉強時間をかけてまで中小企業診断士の資格を目指す意味ってあるの?本当のところを知りたい。
本記事は、このような疑問について解説していきます。
- 中小企業診断士の資格とは?
- 会社員が中小企業診断士を目指す7つのメリット
- 会社員が中小企業診断士を目指す5つのデメリット
- まとめ:中小企業診断士の資格は会社員人生を変えることができる資格
本記事の執筆者の僕は、企業内診断士12年目。
5年に1回の資格更新を2回しており、副業収入も年7桁を超えました。
会社員でありながら開業届も提出し、本業+副業のパラレルキャリアを歩んでいます。
結論は、中小企業診断士の資格は、会社員人生を大きく変えるパワーを持つ夢のある資格です。
中小企業診断士の資格は、”ビジネスパーソンが新たに取得したい資格”ランキングで上位に位置するなど、近年、会社員の間でも人気の高い資格です。
でも、「独占業務がないから食えない」「実務で活かせない」「膨大な勉強時間がかかる」と、興味はあっても勉強に二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで、本記事では企業内診断士12年目の僕が、これまでの診断士活動や診断士仲間とのやり取りを通じて実感している会社員が中小企業診断士資格を取得するメリット/デメリットを解説します。
- 中小企業診断士の勉強を始めようかどうか悩んでいる方。
- 会社員にとって意味のある資格なのか知りたい方。
- 企業内診断士12年間の経験談を知りたい方。
中小企業診断士資格の勉強を悩んでいる方、実態を知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
中小企業診断士資格とは?
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対する診断・助言を行う経営の専門家です。
主な仕事内容として、以下の3つがあります。
- 中小企業の経営に関するコンサルティング
- 事業計画書の作成
- 執筆・講演
また、過去5年間(2018年度~2022年度)における試験の合格率の推移は、
- 1次試験:約23%~43%
- 2次試験:約18%~20%
- ストレート合格:約4%~8%
と難易度の高い試験であると言えます。
会社員が中小企業診断士を目指す7つのメリット
会社員が診断士資格を目指す7つのメリットを紹介します。
7つのメリット
- 社外人脈が圧倒的に広がる
- 副業の機会が手に入る
- 転職のきっかけになる
- 独立に向けた準備ができる
- 心地よきサードプレイスが手に入る
- 自信になる
- 会社以外の名刺が作れる
社外人脈が圧倒的に広がる
診断士資格は、社外人脈を圧倒的に広げることができます。
診断士の資格取得者は、
- 企業内で活躍している人
- 税理士、社会保険労務士などの他士業
- 独立している人
- 会社の経営者
など、業界、業種、役職が多岐に渡っており、ふだんの会社生活では知り合えない人と出会える機会にあふれています。
具体的には以下の通り。
資格取得前
- 受験予備校の勉強仲間
- 勉強コミュニティの仲間
- SNS上の勉強仲間の繋がり
資格取得後
- 実務補習
- 受験予備校の合格祝賀会
- 中小企業診断協会のイベント
- 診断協会で開催している研究会
- 診断士仲間からのご縁
- 受験時代の仲間との交流継続
僕の場合、まずは診断協会に入会し、いろいろなイベントやコミュニティ、勉強会に参加しました。先輩診断士からのお誘いには積極的に手を挙げて、人脈構築を図ってきました。
また、実務補習時のメンバーや同じ会社の診断士の方との繋がりから得た人脈もあります。
社外人脈を構築するメリットはたくさん。
- 刺激をもらえる。
- 副業の機会に繋がる。
- 自分の価値観や視野が広がる。
- 心地よきサードプレイスが手に入る。
- しがらみのないオープンな相談ができる。
人とのご縁で新しい世界が広がります。
社外人脈を構築できることは、診断士資格取得の大きなメリットですね。
副業の機会が手に入る
診断士資格は、会社員でも出来る副業の機会をたくさん手に入れることができます。
具体的には以下の通り。
- 受験予備校関連の仕事(1次・2次試験の解答解説執筆、模試作問、予備校講師など)
- 企業のコンサル活動
- 専門誌への寄稿
- セミナー登壇
- 国の補助金申請に必要な事業計画書の作成
- 商工会議所の相談員
- 商店街の復興支援
僕も、各種執筆、補助金申請サポート、共著2冊出版など、さまざまな副業を経験してきました。
会社員が副業をするメリットはたくさんあります。
- 新しい知識や経験が身につく
- 達成感や充実感が手に入る
- 本業のリフレッシュができる
- 収入の増加が心の余裕につながる
- 自分の新しい可能性や長所に気づける
- 人生の可能性が広がる
人生100年時代。
一つの会社、一つのキャリアに縛られることなく、自らキャリアを構築していくことが求められる時代です。
終身雇用は崩壊。物価は高騰。年収は右肩下がり。
本業一本の収入源だけでは、リスクが高すぎます。
自分の身は自分で守る必要があるからこそ、副業は必須。
診断士資格は、会社員人生の可能性を広げる副業機会を手に入れることができますよ。
転職のきっかけになる
診断士資格は転職を後押ししてくれる武器になります。
具体的には、
- 面談のとき、話題にできる。
- 診断士仲間から情報や刺激をもらえる。
- 面談時に勉強習慣があることを証明できる。
といった点が大きいです。
会社の中で転職の話はしにくいし、転職を経験したことのない人と話してもネガティブな意見が出がち。
そのため、転職活動時に孤独に陥ることが多いです。
逆に、診断士仲間の中には、転職の経験者や自らのキャリアアップに前向きな人が多いので、転職に関するリアルな実体験を聴くことができたり前向きな気持ちになれたりと、行動を加速させることができます。
また、会社の面談担当者の中には診断士資格を取得している人や勉強経験のある人と出会う場合もあり、面談時の会話のネタになることも。
僕も転職面談のとき、診断士資格に関する勉強習慣やストーリーを話すことで、自分の長所や意欲をアピールできました。診断士仲間との会話から刺激を受けたことも転職に踏み切った理由の一つです。
一方、”診断士資格があるから必ず転職できる”というわけではありません。
あくまでも、診断士資格は一つのものさしであり、あなたの転職活動を後押ししてくれる一つの武器。
このことを勘違いしてしまうと、せっかくの武器を上手く活かせなくなってしまうので、気をつけてくださいね。
独立に向けた準備ができる
診断士資格は、転職だけでなく独立に向けた点でも有効です。
頭で「独立したい」と考えても、実際に独立に移すとなると話は別。
会社員生活を過ごす中では、独立の話題が出ることや独立経験をすることがほとんどないので、独立に向けたイメージがしにくく、どうやったらいいか分からないからです。
たとえ、会社で新規事業の立ち上げや会社設立に関わったことがある人でも、会社の看板がある中で実施する場合と、会社の看板に頼らず一から立ち上げて軌道に乗せていく場合とでは、全然状況が違います。
でも、診断士仲間の中には、会社員から独立した人、経営者がたくさんいるので、独立に関する生の声や活きたアドバイス、知見をもらうことができます。
さらに、会社員のうちから中小企業診断協会や先輩診断士から紹介された仕事の手伝いをすることで、独立に向けたノウハウや知識の習得、見込顧客の開拓もできます。
よく”診断士資格で独立できる”とありますが、診断士資格があるから独立できるのではなく、診断士資格をきっかけに独立に向けた事前準備ができるのが大きなメリットですね。
転職活動と同様、きちんと有効活用すれば、診断士資格は独立に向けた強力な武器になります。
いきなり独立ではなく、しっかりと助走期間を経ることで、独立後の成功確率をアップすることができますよ。
心地よきサードプレイスが手に入る
家庭でも会社でもない、「診断士資格」を共通のキーワードとしたサードプレイスが手に入ります。
人は共通点があると、すぐに打ち解けることができ、心地よさを感じることができます。
苦しい受験生活を乗り越えてきた者同士だからこそ、診断士仲間の絆は深くなります。
サードプレイスのメリットはたくさん。
- 気分転換できる。
- 社外の情報が手に入る。
- 会社では実現できないことに挑戦できる。
- 自分の存在を認めてもらえる場所ができる。
- 役職、損得なしでフラットな人間関係が築ける。
僕は会社のパワハラでメンタルダウンしていた時期がありましたが、診断士仲間との繋がりのおかげで自分を見失わずに踏ん張ることができました。
気の置けない仲間と過ごせる時間と環境が手に入ることで、より豊かな人生を過ごすことができるようになりますよ。
自信になる
難関国家試験の取得は単純に自信になります。
本業、家事、育児と忙しい中、1年以上もの間勉強を続けて合格することは並大抵の努力ではできないからです。
「あれだけ苦しい中でもやり遂げることができた!」と自分の中での大きな成功体験となり、新しいことに挑戦するときの一歩が踏み出しやすくなりますよ。
会社以外の名刺が作れる
会社以外の2枚目の名刺が作れます。
診断士のイベントに参加すると、会社員の人でも診断士としての名刺を作っている人が多くいます。
会社員が個人の名刺を持つ機会はめったにないので、ちょっとした感動を味わえるし、診断士になったんだという実感を味わえるのも一つの醍醐味ですね。
会社員が中小企業診断士を目指す5つのデメリット
会社員が診断士資格を目指す5つのデメリットを紹介します。
5つのデメリット
- お金がかかる
- 合格まで膨大な勉強量が必要
- 受験地獄に陥るリスクがある
- 資格の更新が大変
- 資格がプレッシャーになる
お金がかかる
診断士資格は「取得前」も「取得後」も相当のお金がかかります。
まず、受験時代は、勉強のためのお金がかかります。
受験にかかる費用
- 予備校・オンライン講座:4万円~30万円
- 参考図書:1万円~4万円
- 受験手数料(1次・2次):2万円~4万円
その他費用
- 飲食代や交通費
資格取得後は、資格維持、診断士活動におけるお金がかかります。
中小企業診断協会にかかる費用
- 入会した場合、入会金および年会費4万円~5万円程が必要(入会任意)
資格更新にかかる費用(理論研修)
- 1回あたり6,000円~8,000円。5年間で5回の受講が必要なので、30,000円~40,000円程度の費用が必要
資格更新にかかる費用(理論研修)
- 診断協会主催の実務要件の場合、6日あたり30,000円~50,000円。5年間で30日以上が必要なので、150,000円~250,000円の費用が必要
交際費
- 研究会やイベントへの参加費、懇親会費
資格の取得前も取得後も、相当の費用がかかることは覚えておきましょう。
合格まで膨大な勉強量が必要
診断士合格までに必要な勉強時間は約1,000時間と言われています。
単純に365日で割ると、1日約2.7時間の勉強が必要ということになります。
仕事、家事、育児をこなす中、長きに渡って1日2.7時間もの勉強時間を捻出することは想像以上に大変。家族との相談、タイムマネジメントなど必須です。
中途半端な気持ち、生半可な勉強時間で合格できる試験でないことは覚悟しておきましょう。
受験地獄に陥るリスクがある
1,000時間勉強しても、絶対合格できる保証はありません。
特に2次筆記試験は勉強量にまったく比例しないので注意が必要です。
僕は約4年間、2次試験受験生の講師役として受験生と関わってきましたが、5年、6年かかっても合格できない受験生を何人も見てきました。
一歩間違えると、受験地獄から抜け出せずに何年もの間、診断士資格に合格するための勉強に時間とお金を費やしてしまうことになるリスクの高い試験とも言えます。
受験地獄に陥らないためにも、合格に直結した勉強方法や基本的な戦略を知った上で勉強を進めていきたいですね。
資格の更新が大変
診断士資格の効力を維持するには、5年に一度、以下の更新登録要件を満たす必要があります。
(1)専門知識補充要件
理論政策更新研修等、合計して5回以上の実績を有すること。
(2)実務要件
診断助言業務等、合計して30日以上行ったこと。
(参照:中小企業庁「申請・届出の手引き」)
会社員にとって、特に大変なのが”(2)実務要件”。
ふだんの会社員生活を過ごすだけでは、外部企業のコンサル機会を得ることはできず、日中に自ら営業活動に行くこともできないからです。
この条件を満たせずに資格の失効/休止をしていく人もたくさんいます。
診断士資格は、一度試験に合格したら終わりではなく、資格取得してからも弛まぬ自己研鑽や行動が必要なことを覚えておいてください。
資格がプレッシャーになる
診断士資格を持っているだけで、まわりからは「経営に強い人」との見方をされます。
でも、当然ながら資格を持っているだけで経営のプロになれるわけではありません。
- 机上論がそのまま実践で通じるわけがない。
- その道のスペシャリストに敵うわけがない。
- 受験で勉強したことを全て覚えているわけではない。
- ロジカルシンキングが机上の学習で身につくわけがない。
僕が異業界に転職したとき、「診断士資格を持ってるから分かるよね?」と過度のプレッシャーに苦しめられました。
診断士資格を取得することで、自分の想像以上にまわりからの期待値は上がっています。
そのプレッシャーに勝つためのメンタルと努力が求められることは認識しておきましょう。
まとめ:中小企業診断士の資格は会社員人生を変えることができる資格
本記事では、会社員が中小企業診断士資格を取ることに対するメリット・デメリットに対し、以下の解説をしてきました。
本記事の要約
- 中小企業診断士の資格とは?
-
- 中小企業の経営課題に対する診断・助言を目的とした資格
- 試験の難易度は高め
- 会社員が中小企業診断士を目指す7つのメリット
-
- 社外人脈が圧倒的に広がる
- 副業の機会が手に入る
- 転職のきっかけになる
- 独立に向けた準備ができる
- 心地よきサードプレイスが手に入る
- 自信になる
- 会社以外の名刺が作れる
- 会社員が中小企業診断士を目指す5つのデメリット
-
- お金がかかる
- 合格まで膨大な勉強量が必要
- 受験地獄に陥るリスクがある
- 資格の更新が大変
- 資格がプレッシャーになる
診断士の資格は受験前、受験後ともに、時間やお金のかかるハードな資格です。
でも、資格を活かして行動することで、デメリットを上回る大きなメリットを得ることができます。
僕自信、年7桁の副収入。共著2冊。転職。開業届と、会社員のままでは得ることのできない実績と経験を積むことができました。
まわりでも、副業、転職、独立と、会社員人生を大きく変えた人をたくさん知っています。
僕が12年間、企業内診断士として活動して実感していることは、診断士の資格は会社員が人生を大きく変えることのできる夢のある資格であるということです。
特に次に当てはまる人は、診断士資格の取得を考えてみることをおススメします。
- 診断士資格に魅力を感じる人
- いまの会社員人生を変えたい人
- 退職後のセカンドキャリアに備えたい人
診断士資格の1次試験、2次試験に最短合格するための方法、基本的な戦略については以下で詳しく解説しているので、チェックしてみてください。
診断士資格は、世では難関資格に位置付けられていますが、正しい方法で正しく勉強を継続すれば、1年ストレート合格が可能な資格です。